20 Aug 2016
蒸し暑い夏の日、
久々に美術展に行きました。
名古屋ボストン美術館は、比較的近場なのが有り難いです。
「ルノワールの時代」~近代ヨーロッパの光と影~
会期は3月19日(土)から8月21日(日)で、もう今週末までと、ぎりぎりです。
名称が紛らわしいですが、この展覧会はルノワール展ではありません。
ルノワールと同時代の画家達の絵を通して、その時代の人々の心や暮らしを見つめる、といった構成になっていますので、ルノワールの絵は数点のみです。
下はパンフ表紙になっているダンスの絵ですが、ルノワールらしい柔らかな筆致、色遣いを通して、人々の集う場の光や熱気、そして人々の感情や息づかい等が、生き生きと伝わるようです。
足元にブーケやタバコの吸い殻まで描かれています。
ルノワール作 ブージバルのダンス 1883年
この絵にも目を奪われました。
柔らかでありながらも荒い筆致に光や温度や息づかいを感じます。
ルノワール作 ガンジー島の海辺の子どもたち 1883年頃
フォーマルな服装のままの都会の子供と、背後に描かれている海で裸で楽しげに波と遊び泳ぐ現地の人々を対比させています。
キルヒナー作 クラヴァーデルからの山の眺め 1925-26年
キルヒナーは特に好きな画家ということではないのですが、見る時によって感じ方が変わりますね。
今回は、画家が山の雄大な気に素直に打たれていただろう感覚が、清々しく伝わるような気がして魅入りました。魅力的な絵に思えました。
ドーミエ作 雪空のクリノリン・スカート (「冬の歳時記」より」)1858年
雪が積もったスカート。女性のファッションを皮肉っています。
他、展示品を丹念に観賞し、そろそろ足が痛くなる頃、閉館時間。
少しだけグッズを買って、帰宅、と、
規模の大きな展覧会ではないため、心のリフレッシュ&心のビタミン補給には、疲れない範囲の程よい観賞タイムとなりました。
この土日が会期最終日です。お近くの方、是非どうぞ。
さて、あいにくの事ですが、この名古屋ボストン美術館は、
2019年3月までに閉館することが決まっています。
(美術館の後利用がどうなるのかは検討中のようです。)
オープン前から、経営面で成り立つのかどうか?と、素人目にも首を傾げるような懸念材料はあったものの、オープンしてしまえば、近場の有り難さもあって、余程興味が湧かない展覧会以外のほとんどの展覧会に、会期中少なくとも各一回は足を運んできました。
館側の希望に達しなかった入館者数の一人では有り続けてきた訳ですね。
とは言え、行くと、
建物の立地環境 (周囲にまったく緑が無く、空気的に欲求不満になる)や、他に何らかの小さな不満が地味に出たりするのが、この美術館の不可解な点だったのですが、
だからと言って、展示されている美術品の鑑賞の妨げになるものではありませんでした。
印象深かった「ゴーギャン展」や「ボストン美術館 日本美術の至宝展」には、2度も3度も足を運んでいます。
2度3度も行かないまでも、印象深く、行って良かったと感じている展覧会は他にいくつもありました。
それらを考えますと、行きやすい近い場所にこのボストン美術館が出来てくれたことで、私的には十分に、その”ご利益”にあやかったようなものかと。
結局は、有難う、としか言いようがないような・・・・・・。
閉館が決まり、残りの時を刻み始めたボストン美術館としての最後の年数の間、
これからも、(災害などの不測の事態がなく、私的都合や体調が許す限りは)、入館者の一人で有り続けようと思います。
経営面では大きな赤字で、そういう意味では失敗だったかもしれませんが、毎度足を運んだ一入館者であり、展示された美術品をそれなりに堪能させてもらった一鑑賞者の、小さな声として言いたく思います。
ボストン美術館の収蔵品が、この地に来てくれて、長年にわたり静かに留まってくれて、有難うございます、と。
美術館の後利用が、出来れば芸術的な方向で活用されてゆくと良いですが、はてさて?
今は行方を見守るのみです。
(追記:名古屋ボストン美術館は2018年10月8日に閉館しました。)
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