17 Aug 2018
10月8日に閉館が決まっている名古屋ボストン美術館。
僅か20年での閉館は残念でなりません。
この名古屋ボストン美術館での、
”鈴木春信・浮世絵展”は、
一月で終了していますが、現在は福岡市博物館で開催中です。(8月26日まで)
個人的にはとても魅力的な展覧会で、魅了され、3度も出かけました。
で、その感想が今頃?と遅すぎですが、記事書きかけのまま、時がどんどん過ぎ・・・。(^-^;
画像引用:名古屋ボストン美術館、鈴木春信展パンフレットより
鈴木春信・浮世絵展 パンフレット表:「梅の小枝を折り取る男女」
(1766年(明和3年)絵暦)
解説:右側に桃の一枝を手折ろうとする若衆、
左側にその様子を振り返るように見つめる娘が描かれ、初々しい恋の予感、と。
鈴木春信(1725~1770)は、
錦絵創始期の第一人者として知られる浮世絵師です。
絵師としての活躍は10年余りの短い期間で、絵師として人気絶頂の頃、病にて急死しています。
主題は、若い恋人たちや、母と子、さりげない日常、古典主題から発想された見立て絵、などで、
人物は柔らかな線で描かれ、細い手足、何気なさげな動き、
どの絵にも見られる着物の繊細な揺らぎは特徴的で、
室内の様子であれば部屋の匂いや物音さえ聞こえそうで、
またどの絵からも、温かで穏やかなまなざしが感じられます。
(画像は配布パンフレットからの抜粋です。)
五常「智」 1767年(明和4年)
色鮮やかな錦絵です。日常の中に見られる知性と教養。
五常は儒教による、人が常に守るべき徳目のことで、
絵は「仁・義・礼・智・信」の中の”智”とされる。
「寄菊」夜菊を折り取る男女
1769-70頃(明和6年―7年頃)
その画面は一見
甚だ清楚にして乱雑ならず、
常に軽く軟かき感情を与ふ。—-永井荷風【江戸芸術論】「鈴木晴信の錦絵」
~「名古屋ボストン美術館ニュース」2017NO62より~
↑鈴木春信・浮世絵の特徴を見事に言い得ているのではないかと・・・・。・
夕立 1765年、明和2年 (絵暦)
見立孫康 1765年 明和2年 (絵暦)
絵暦は絵の中に暦が隠されています。
それを読み解くのが、江戸人の粋か・・・・・。
浮世美人寄花 笠森の婦人 卯花
1769年(明和6年)
明和の3美人と呼ばれる中の一人、お仙が描かれています。
八つ橋の男女(見立八つ橋)
1767年(明和4年)
伊勢物語の第9段「東下り」が想起される見立て絵です。
風流江戸八景 駒形秋月
1767年 明和5年
絵はどれも画面が小さいです。
江戸の人々はこれらの錦絵を手に持ったり、土壁などに張ったりして楽しんだのだろうか?
当時の暮らしの様子に思いが行きます。
そうして窺い知れるのは、江戸民衆の文化意識の高さや、
知的な遊び心を粋に持ち合わせた教養の高さ、
生活の質の良さのようなことで、大江戸の文化資質の充実したハイレベルぶりに、驚かされるのでした。
鈴木春信の浮世絵は、ほとんどが海外に有るため、
国内で、これだけまとまった数の展覧会を見られる機会は、滅多にありません。
今回の展示の国内巡回は、現在の福岡が最後となっています。
興味があって、福岡に行かれそうな方、この機会をお見逃しな~く。^^
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